
「最近、長時間歩くと股関節が痛い…」
「運動不足のせいか股関節が硬く感じる」
そんな悩みを抱える20代の方が増えています。
若い世代だからといって油断は禁物。
股関節の痛みは運動不足だけでなく、隠れた疾患が原因となっていることもあります。
本記事では、股関節の痛みと運動不足の関係、考えられる疾患、そして対策法について解説します。
目次
運動不足が引き起こす股関節の痛みとは?

なぜ運動不足で股関節に痛みが出るのか?
運動不足になると、股関節を支える筋肉(腸腰筋・中殿筋・大腿四頭筋など)が衰えてきます。
筋肉が硬くなることで関節の動きが悪くなり、歩行時や立ち上がり時に痛みを感じやすくなります。
また、関節周囲の血流も低下し、組織の柔軟性が失われることで慢性的な痛みに発展することもあります。
座りっぱなしの生活が股関節に与える影響
デスクワークやスマホ中心の生活が長引くと、骨盤が後傾し、股関節への圧迫が増加します。
結果的に関節の滑りが悪くなり、痛みや可動域制限を引き起こす原因になります。
これは20代でも十分に起こりうる問題です。
20代でも要注意!長時間歩くと股関節が痛い理由

考えられる疾患とその特徴
若い方でも以下のような股関節疾患が潜んでいる可能性があります。
- 臼蓋形成不全:股関節の受け皿が浅く、負担が集中しやすい。女性に多い。
- FAI(股関節インピンジメント):股関節の骨の形状異常で、動かすたびに骨がぶつかって痛みを生じる。
- 筋膜性疼痛症候群:筋肉や筋膜の緊張が痛みを誘発しているケースもあります。
運動不足がこれらの症状を助長してしまうこともあります。
20代に増えている「機能的障害」とは?
近年、明らかな関節や骨の異常がないにもかかわらず股関節に痛みを訴える20代の方が増えています。
このようなケースの多くは、「機能的障害」によるものです。
機能的障害とは、股関節周囲の筋力低下・筋バランスの崩れ・関節可動域の制限・神経筋協調性の低下などが複合的に絡み合って、関節に負担がかかり痛みが出る状態を指します。
特に以下のような要因が関係しています。
- 中殿筋や腸腰筋の弱化 → 骨盤が安定せず、歩行時に股関節に負担集中
- ハムストリングスや大腿筋膜張筋の過緊張 → 関節の滑らかな動きが妨げられる
- 体幹・骨盤のアライメント異常(姿勢不良) → 動作時に力の伝達が乱れ、代償的な動きが増える
これらは、特別な疾患名がつかない「サブラクセーション(不安定性)」や「筋膜性疼痛症候群(MPS)」の一部として説明されることもあります。
機能的障害は画像検査で異常が出にくいため、整形外科では「異常なし」と言われることも多いですが、実際には日常生活や運動時に不快感・痛み・違和感として現れます。
こうしたケースでは、筋力評価や関節可動域、動作分析を行ったうえで、個別のリハビリ・運動療法が必要になります。早期に介入すれば改善が見込めるため、違和感の段階で対処することが重要です。
股関節の痛みと運動不足を改善するストレッチ法

初心者でもできる!やさしいストレッチ3選
① 腸腰筋ストレッチ(股関節の前側をゆるめる)
効果: 長時間の座位や運動不足で縮こまりやすい腸腰筋(股関節の屈筋)を伸ばし、骨盤の前傾や腰痛を防ぎます。
やり方:
- 片膝立ち(ランジの姿勢)になります。
- 後ろ脚(伸ばした側)の股関節を前に押し出すように体重をかけます。
- 背筋はまっすぐのまま、腰を反らさずにキープします。
- 腸腰筋が伸びている感覚があればOK。
ポイント:
- 背中を反らしすぎないように注意
- 骨盤が左右にズレないよう意識して安定させる
- 20秒×左右2セットを目安に
② 大腿四頭筋ストレッチ(前ももを伸ばして股関節の動きをスムーズに)
効果: 股関節の屈曲・伸展動作がスムーズになり、歩行時のつっぱり感や前側の痛みを軽減します。
やり方:
- 立位または横向きに寝た状態で、片膝を曲げて足首を持ちます。
- かかとをお尻に近づけるようにして前ももを伸ばします。
- 骨盤をやや後傾(腰を軽く丸めるように)させると、より効果的です。
ポイント:
- 股関節を前に突き出さず、膝が前に出ないようにする
- バランスが不安定な場合は壁やイスを使ってOK
- 20秒×左右2セット
③ お尻(中殿筋)ストレッチ(股関節の外側の安定筋をほぐす)
効果: 中殿筋は歩行時に骨盤を支える重要な筋肉。ここが硬くなると股関節外側や腰にも影響します。
やり方(仰向けで行うパターン):
- 仰向けに寝て、片足を反対側の膝の外にクロスします。
- クロスした膝を両手で抱え、胸に近づけるように引き寄せます。
- お尻の外側~股関節の外側が伸びる感覚を確認します。
やり方(イスに座って行うパターン):
- イスに浅く座り、片足を反対側の膝の上に乗せて「4の字」姿勢を作ります。
- 背筋を伸ばし、そのまま前にゆっくり倒れていきます。
- 股関節の外側~お尻がじわっと伸びていればOK。
ポイント:
- 呼吸を止めずにゆっくり行う
- 反動をつけず、じんわり伸ばす意識で
- 20秒×左右2セット
どのストレッチも「無理せず、痛気持ちいい範囲」で行うことが大切です。
呼吸は止めずに自然に続け、反動をつけないことが、効果を高めるポイントです。
毎日の習慣にすることで、股関節まわりの柔軟性と安定性が徐々に高まり、痛みの予防につながります。
ストレッチが股関節痛に効果的な理由
硬くなった筋肉を伸ばすことで血流が改善され、関節の動きもスムーズにします。
また、筋肉の緊張によって生じていた圧迫が緩和され、痛みの軽減につながります。
整骨院でできる股関節痛への治療法とは?

当院での施術内容
当院では、以下のアプローチで股関節の痛みに対応しています。
- 骨盤・股関節の調整
- 筋膜リリース
- 超音波などの物理療法
- 運動指導によるセルフケアの提案
痛みの原因を評価し、一人ひとりに合わせたプログラムを組みます。
来院をおすすめするケース
以下のような症状や状況に当てはまる方は、早めに専門的な評価を受けることをおすすめします。
- 歩行時や立ち上がり時に股関節の痛みがある
→ 動作時に痛みが出る場合は、筋力低下や関節の不安定性、インピンジメントなどが関係している可能性があります。 - ストレッチやセルフケアをしても改善しない
→ 痛みの原因が筋緊張だけでなく、構造的または機能的な問題にあるケースも多く、自己流のケアでは不十分なことも。 - 痛みが徐々に強くなっている・範囲が広がっている
→ 進行性の疾患(例:臼蓋形成不全やFAI)の可能性もあり、早期の対処が必要です。 - 片側の股関節だけに違和感や重さを感じる
→ 姿勢や骨盤の左右差、筋力バランスの崩れによる片側性の負担が生じている可能性があります。 - 股関節の可動域が左右で明らかに違う
→ 隠れた滑液包炎や関節唇損傷などの初期兆候であることもあります。 - 股関節周辺に「パキッ」「ゴリッ」といった音が鳴る
→ 関節の滑り異常や筋腱の引っかかりが起きており、将来的な痛みの原因になる可能性があります。 - 過去にスポーツで股関節を痛めたことがある
→ 古傷が運動不足とともに再発しているケースもあるため、経過観察が必要です。
このような方は、放っておくと慢性化や日常動作への支障につながることがあります。
整形外科で異常が見つからなかった場合でも、機能評価や筋膜・骨格のバランスをみる整骨院でのチェックが有効です。
まとめ|股関節の痛みは運動不足だけが原因ではない
20代という若い世代であっても、股関節の痛みを訴える方は増えています。
運動不足による筋力低下や柔軟性の低下はもちろんのこと、姿勢不良や機能的なバランスの崩れ、さらには臼蓋形成不全やインピンジメントといった疾患が背景にある場合も少なくありません。
「少し歩くと痛む」「長時間座っていると違和感がある」など、軽度の症状でも放置することで将来的に歩行機能へ大きく影響を及ぼす可能性があります。
早めにストレッチや軽い運動を取り入れ、必要に応じて専門機関での評価・ケアを受けることが大切です。
当院では、股関節の痛みの原因を評価し、筋力や関節の状態に合わせた個別プランを提案しています。
「これくらい大丈夫」と思わず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
初期段階での対応こそが、10年後・20年後の健康を守る第一歩です。





